以前の記事で、バンディットを標準車高へ戻したいと書きました。
車高を戻す理由ですが、和休は「ローダウンしているので、ハンドリングがどうこう」などと違いが分かる腕は持ち合わせていません。
「サイドスタンドの傾きが浅くて不安」、「センタースタンドをかけるのに力が要る」という点を解消したかったのです。
昨年末には必要な純正部品はすでにそろえていて、あとは作業するのみ。
和休のガレージは半屋外。温暖な瀬戸内海式気候とはいえ、外で作業するのはさすがに寒く、また、5月にはビーナスラインツーリングが控えているので、ロングツーリング後にじっくり取り掛かることにしていたのでした。
リンクロッドを純正品へ交換
車高を下げる方法はいくつかあるのですが、デメリットが少ない方法として、リンクロッドを長いものに交換する方法があります。
バンディット1250に対応した商品は、いくつか発売されています。和休のバンディットに装着されているものは、おそらくデイトナの「ローダウンリンクロッド」というものです。
取扱説明書が公開されているので、作業前に読んでみました。簡単にできそうに思ったのですが、実はむちゃくちゃ大変でした。
左からリンクロッド、同取り付けボルトとナット、マフラークランプ、マフラーガスケットです。
作業に当たり、マフラー(サイレンサー部分)を外す必要がありそうだったので、つなぎ目に使われているガスケットを用意しました。
マフラークランプはひどくさび付いていて、恐らく破壊しないと外れなさそうな雰囲気。念のため用意しておいたのです。
今回、キジマ製のマフラークランプ を購入しました。
バンディットをセンタースタンドで立てます。
足回りのボルト等は、強い力で締め付けられていることが多いです。緩めようとした拍子に車体が動き、スタンドが外れないとも限りません。これを防ぐため、フロントブレーキを固定しておきます。
この3か所のボルトやナットは、ステップやマフラーを外せばすんなりアクセスできそうな感じだったのですが、問題は、車体右側にあるリンクロッド下部の取り付けナット。
まったく工具が入りそうな雰囲気ではありません。
ここに工具を入れるためには、エンジンからエキゾーストマニホールドを外す必要があって、エキゾーストマニホールドを外すにはラジエターをずらす必要があるようで。
おまけにエキゾーストマニホールドを外したら、エンジンとの間に入っているガスケットを交換しなければならない、とかなり大ごとになるし、今日はガスケットも用意していないので、なんとかこれを外さずにやってみることにしました。
まず初めに左ステップを外します。
こいつは6mmのヘキサレンチで緩めます。かなり強く締まっています。
げっ!チェーンに錆びが来ている!
続いて、チェーンスライダーの取り付けボルトを外して、チェーンスライダーをずらします。
マフラー(サイレンサー)を外す
作業しやすいようにサイレンサーを外します。バンディット1250Sの場合、エキゾーストマニホールドとサイレンサーは分割できるようになっていますので、二つのパイプを接続しているマフラークランプを緩めます。
ところが排気系の部品の常で、しっかり錆びて、しっかり焼き付いている様です。
試しにメガネレンチをかけてみましたが、力をいれるとボルトの角はあっさり崩れてしまいました。
と、いうわけで、ボルトを切断します。
ゴォリゴォリと小型の金のこで切断すること数分。あっさり切断することができました。
あとは、マフラーを吊り下げているバンドのボルトを外せば、サイレンサーは外れます。
純正マフラーに比べれば軽いですが、油断して傷をつけないように気を付けましょう。
やや!跳ね上げたセンタースタンドを受けるゴムが無くなっているではありませんか!
リンクロッド取り付けボルトを緩める
とりあえず簡単に外せそうな、上側からやっつけてみます。
ボルトとナット、緩めたり締めたりするのはナットを回して行う、とセルフメンテ向けの本には書いてあります。ところがナット側にレンチを回すスペースが取れなかったので、ボルト側を回してみたのです。
ところがこのボルト、硬いのなんの。むちゃくちゃ硬く締まっています。マニュアルでは7.8Nmで締まっているので、体重を掛ければじわっと回りだすはずなのに。
先輩方の作業レポートを読むと、新車時はかなりきつく締まっているそうです。でも和休のバンディットはすでにローダウンリンクロッドに交換されていますから、マニュアル通りのトルクで締まっているはずなのです。
体重をかけた手のひらがズキズキ痛むほど力を入れたのに、困ったもんです。ちょっと休憩して、作戦を立てることにしました。
右ステップを外す
やはり、ボルト側から回すのは無理があったみたいです。
新品のナットを見ると、緩み止めの加工がしてあります。そこで、あまり外したくなかった右ステップを外して、車のホイール交換に使っているクロスレンチを使い、セオリー通りナットを緩めることにしたのです。
右ステップは、リアブレーキペダルと組み合わさっているので、下手に外すとブレーキペダルの位置が変わったり、ブレーキスイッチのタイミングが変わったりするので、元通り組み立てた後、調整が必要になります。
面倒なのでできれば外したくなかったのですが、やってみると意外と簡単。 リアブレーキマスターシリンダー取り付けボルトを外すと、ステップ取り付けボルトも簡単に外すことができました。
これならブレーキペダル周りは触っていないので、組み立て後の調整は必要なさそうです。
右ステップを外すと、めでたくクロスレンチをナットにかけることができました。どりゃーと力を掛けると、じわわーとナットが緩んでくるではありませんか。
なんとか上部のボルトとナットを外すことができました。
次は問題の下部ボルトです。
下部ボルトは外せない
どうあがいても緩みそうにないこのナット。手持ちのレンチやソケットは、ナットへ掛けることさえできません。
手持ちの工具では無理なので、ホームセンター「コーナン」へ向かい、電動工具を借りてきました。
コーナンの電動工具は、本体と各種アタッチメントを組み合わせることで、さまざまな用途に対応できるのですよ。
パワーのありそうなコード式の本体とインパクトドリルヘッドを借りてきました。こいつでババババと回せば、勝ったも同然です。
ところが、フルパワーでババババとやっても一向に緩む気配がありません。
やむを得ない。
Kill しかない!
( ・`д・´)
というわけで、再び小型の金ノコでゴォリごぉりとナットを切ることにしました。
3時間後
やったりました。斬ってやりましたよ。
左のナットはリンクロッド上部についていたもので、工具で緩めることができたものです。
最初、ナットのフランジ部分で切り始めたのです。3時間かけてようやく切断完了。残ったフランジ部分(写真中央の部品)はあっさり外れるだろうと思っていたのですが、なんとこの部分までネジ山が切ってあって、まったく外れそうにありません。
やむなくフランジ部分を切断しようとしたのですが、途中でふとタガネを使ってみたらどうだろうと思ったのです。
金ノコで切れ目を入れたところをめがけて、ナットが緩む方向にタガネを当ててハンマーでガツガツと。
コクッという手ごたえとともに、ようやくナットが緩みました。
リンクロッドを入れ替える
よーやくローダウンリンクロッドが外れました。
長さを比べてみると、若干純正品の方が短いです。
長さの違いは5mm程度でしょうか。
この5mmの違いで30mm(1250Fは15mm)ローダウンするのですから不思議です。
リンクロッドの間には、カラーが挿入されていました。ついでなので外してパーツクリーナーできれいにし、薄くグリスを塗っておきました。
カラーが挿入されている部分にはベアリングがあるので、ここにもグリスを足しておきます。
本当なら古いグリスを洗い流してから新しいグリスを塗り込みたいところですが、今日は時間もないので割愛しました。
純正のリンクロッドを取り付け、用意しておいた新しいボルトとナットをセット。
下側のボルトはどうやって締めこもうかと考えていたのですが、たまたま立ち寄ったアストロプロダクツという工具屋さんで、こんな工具を発見しました。
「オブストラクションレンチ」、その形状から「ハーフムーンレンチ」とも呼ばれますが、これなら使えるのではと思い、購入してみたのです。
ばっちり掛けることができました。
しかし、工具を回すことができる角度はわずかなので、やむを得ず、ボルト側から締め付けました。
手で回しきれるところまで締め付けたら、センタースタンドを外し、サイドスタンドで車体を支えます。
足回りのボルトを本締めするときは、各部にしっかり荷重がかかった状態で締めると良いそうです。
結局、2日間かけて作業を行うことになりました。悪天候が続き、まだテスト走行できていないのでどのような乗り味になるか楽しみです。
そうそう、サイドスタンドの傾きは適正化しましたし、センタースタンドは軽く掛けることができるようになりました。一応、当初の目的は達成できたみたいです。
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