その1から続く
分断国道
かつて、国道309号線は、分断国道、つまり完成していない国道だったんです。
人々は天川村から上北山へ道を通そうとしたのですが、途中、行者還岳と呼ばれる険しい山に阻まれ、工事は中断されたまま。
天川村は天河大弁財天社や大峯山龍泉寺など多くの修験道の霊場があり、行者の修行の地なんですが、修験道の開祖、役行者 がこの山を通り抜けようとしたものの、あまりの険しさに一度引き返したことから「行者還岳」といわれています。
役行者でさえ引き返してしまうほどの険しい山が国道の開通を阻んでいたのですが、この区間は「行者還林道」という林道が通じており、一応、車が通行できるようになっていました。
2002年、行者還林道はそのまま国道309号線へ昇格し、分断国道では無くなりましたが、今もなお林道の雰囲気を残し、酷道といわれています。
なお、行者還岳を貫く行者還トンネルは12月から翌年3月まで冬季通行止めになります。
水がきれい
川迫川に沿って道は進んでいきます
天川村は、とても水がきれいなことで知られています。そもそも弁財天は、水の神であります。村内にはいくつか名水も湧き、この水で作った豆腐は絶品と言われています。
「ここは国道か?」と思われる方も多いのでしょう、ガードレールなどに国道標識がマメに掲示されてます。
ここまでの路面状況ですが、道幅は狭いものの路面に落石などはなく、快適に走行できました。こんな状況はDJEBEL200の得意なステージです。さあ、行者還トンネルまであと一息です。
行者還トンネル
さあ、やっとのことで行者還トンネルに到着しました。
世界遺産になっている「大峯奥駈道」の入り口です。大峯奥駈道とは、吉野から熊野にかけて大峯山を縦走する修行のための道です。
行者還トンネルの天川村側には、登山客のための有料駐車場があります。8時半に到着したのですが、登山口に近い駐車場は満車でした。少し下ったところにある駐車場はまだ空きがありました。気温も暑くなく、登山するにはいい天気です。
和休、かねてからここへ来てみたいと思っていました。今は国道と指定されていますが、実質は林道だったころとあまり変わっていません。険しい紀伊山地の山中をたどっていく心細くなるような道を、一度走ってみたいと何度も地図を見て想像をめぐらせていました。
そのトンネルが、今、目の前にあります。
感動をかみしめながらトンネルを眺めていると、トンネルの横に看板があり、何か書いてあります。
読んでみると時間を区切って通行止めを実施して工事を行いますよと書いてあります。「次は、9時から通行止めかー」と呑気にながめていたら、9時まであと30分もないことに気が付きました。9時までに通行止め区間を通過しなければ2時間近く足止めを食ってしまいそうです。
あわててDJEBEL200に跨り、トンネルに突入したのでした。
工事のため舗装がはがされていました。ここに体感マットが貼られるのでしょうか。
ところで体感マットってなんでしょね?気になります。
天ケ瀬というところで、国道169号線に合流しました。
国道169号線は拡張工事が進み、快走できる区間が続きます。なかには、とても高い高架で谷あいを飛び越えていくような場所もあります。和休はかつてPeugeot205で国道169号線を通ったことがあるのですが、そのときは山肌にへばりつくようなクネクネ道を走っていました。
いやー人間の力ってすごいです。旧道をここへ通した昔の人もすごいし、こんな山の中に高速道路みたいな高規格の道を作ってしまう現代人もすごいと思いました。
国道169号線に入り、さっきまでのクネクネとは打って変わった快走路を鼻歌交じりに駆け抜けます。DJEBEL200は下道のツーリングには最適なエンジン出力です。速度はあまり出ていないけど、なんだか飛ばして走っているような錯覚を覚えます。
それが苦痛ではなくうまく言葉にできないんですが、「なんだか心地いい感じ」なんですね。
池原ダム
ダムの真下には下北山スポーツ公園があり、キャンプやバーベキューが楽しめます。ダムの高さは110m。対岸から眺めるだけでもかなりの迫力です。
その3へ続く
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