住所 | 兵庫県美方郡香美町小代区秋岡~鳥取県八頭郡若桜町つく米 |
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訪問日 | 2020年8月16日 |
メモ
国道482号線は、京都府宮津市から鳥取県米子市に至る国道で、兵庫県以西は山の間を縫うように通っている。
かつて4か所の未開通区間があり、そのうち3か所はトンネルで開通した。
未開通であった区間
- たんたんトンネル(1996年開通)
- まぢトンネル(1998年開通)
- 蘇武トンネル(2003年開通)
- 兵庫県美方郡香美町小代区秋岡地区~鳥取県との県境(2019年開通)
令和元年に開通した最後の未開通区間
最後に残った、兵庫県美方郡香美町小代区秋岡地区~鳥取県との県境までの未開通区間は、2019年5月25日に開通した。
兵庫県美方郡香美町小代区(旧美方郡美方町)と鳥取県八頭郡若桜町の間には、兵庫県最高峰の氷ノ山がそびえるが、両町は古くから交流があったといわれている。
時は流れ車社会になった今日、両町間を移動する手段は車にシフトしたが、両町を直接つなぐ道は、町道・岩小屋線(当時は未舗装路)及び桑ヶ仙林道(通行困難路)という状況であった。
このような状況では、車で香美町から若桜町へ行こうとすると、一旦鳥取市へ出るなど、大きく迂回しなければならない。所要時間は1時間40分程度だという。
国道建設の予定はされていたものの、気候が厳しく険しい山中に道路を建設することは非常に難しく、また、兵庫県側の集落であった「熱田地区」は、1969年に住民が不在となり、国道を建設する意義が薄れ、建設は棚上げされた。
しかし、この未開通区間が国道として開通されれば、両町間をおよそ1時間で移動することができ、約40分もの時間短縮になることから、地元では道路建設について協議が重ねられてきた。
新たな計画では、廃村となった熱田地区と県境を結ぶルートではなく、町道・岩小屋線を整備し、国道に昇格させることとなった。1993年(平成5年)のことだ。
国道482号線熱田橋付近。左が当初の計画ルート。現在は廃村となった熱田地区へを通り、県境へ向かう。
右はかつて町道・岩小屋線。令和元年の開通に伴い、国道に昇格した。
2001年(平成13年)には一旦開通したが、2004年(平成16年)の台風23号により法面崩壊が起こり、通行止めとなった。
道路工事は永らく中断されていたが、地元の熱心な協議の末、2013年(平成25年)に工事が再開。
2016年(平成28年)の豪雪で落石防止網等が被害を受ける、翌年には豪雨により被害を受けるなど、度重なる災害を乗り越え、ついに令和元年5月25日、開通した。
しかしながら、香美町小代区秋岡から県境までは、車が1台通れるだけの狭隘区間が約6km続く。
一般的には300mに1か所の退避所を設けるのだが、この区間はできるだけ多くの待避所を設けており、また、次の待避所までの距離を標識に掲載することで、すれ違いしやすくなるよう工夫されている。
令和の土木技術をもってしても、この程度の道を作ることが精一杯であることが、いかにこの区間が厳しい自然環境であるか、ということが伝わってくる。
さらに、冬季は通行止めだ。
鹿も出る。
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